熱気球の構造と仕組み

熱気球は「熱い空気は冷たい空気よりも軽い」という単純な原理に基づき浮揚するものです。

  熱気球は、熱い空気を蓄える『球皮』、球皮内の空気を加熱する『バーナー』、人が乗るための『バスケット』の大きく3つに分けることができます。一般的な3〜4人乗りの熱気球の大きさは、高さ約20〜25m、直径約15〜18m程度です。重量は約150〜180kg。これに燃料ガスシリンダー(ボンベ)を積み込むと240〜300kgくらいになります。乗員など合わせた総重量は、500〜550gkくらいになるわけで、約0.5トンが空に浮いていることになります。

  球皮と呼ばれる大きな袋の中の空気を加熱すると軽くなり、浮力が得られます。球皮中の空気温度が高いほど大きな浮力があり、早く高い高度まで上昇することができます。

  一方、球皮のてっぺんにはパラシュートと呼ばれる落下傘状の排気機構があり、熱い空気を抜くことができます。少しだけ熱い空気を抜いてやると、気球を下降させることができます。従って、熱気球では上昇と下降の調整ができます。

  しかしながら、方向は風向きによって決まってしまいます。けれども、単に「風まかせ」ではないところがちょっと難しい。通常の穏やかな気象状態では、地上風、中層の風、上層の風と、高さによって無数の風の層があり、各々違った方向に風が吹いているのです。ですから、気球の高度を調整することによって、ある程度、行きたいと思う方向に進めることが出来るのです。

球 皮

  熱気球の大部分は球皮です。球皮は、開口部の難燃布を除いて、軽くて強度の高いナイロンやポリエステル等の化学繊維でできており、裂けにくいような織り方がほどこされています。

  一般的な球皮の形は、逆さまの電球を少しスマートにしたような感じです。これは、一定の内部体積の場合、より小さい表面積で大きな浮力を得るためで、シワができたり裂けたりしないでちゃんと膨らむように計算して作られています。球皮の頂上部にはパラシュートと呼ばれる排気弁があり、浮力の調節ができます。

バーナー

  熱気球の心臓ともいえるバーナーは、錆びにくいステンレス製で、家庭用のガスレンジの1,000倍もの勢いでプロパンガスを燃焼させます。熱気球のバーナーは必ず2つの燃料系統を持ち、たとえ上空で何かのアクシデントで片方の系統が使用できなくなっても、もう一方の燃料系統がすぐ使えるようになっています。

  熱気球の飛行中は、バーナーを焚き続けるわけではありません。上昇する時は焚く時間を増やし、水平飛行のときは自然に冷却される分だけ少しずつ間隔をあけて焚きます。ゆっくり降下したいときには、焚く時間を短く間隔を長くして自然に球皮内の温度が下がるように調整します。

バスケット(ゴンドラ)

 バスケットは人が乗る部分で、ゴンドラとも言われ、籐(とう)で出来ています。籐は、着陸のとき衝撃を吸収して和らげてくれるのと、軽くて丈夫な材料だからです。バスケットの形は三角形のものもありますが、多くは四角形です。4人乗りの気球で、だいたい1.10m×1.40m位、深さは1.0m程度です。バスケットはステンレスのワイヤーで球皮にぶらさがっています。バスケットには容量20kgのプロパンガスボンベが、通常3〜4本積み込まれ、約2時間余りの無着陸飛行が可能です。また、飛行するときには地図、コンパス、高度計、昇降計、球皮内温度計、無線機、消火器等を搭載します。