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一般質問(井元)2005.12

 

最近、「百の言説よりひとつの実行」の如くの、事例に出会いました。ひとつは総選挙であります。郵政民営化で百家争鳴の国会を総選挙で一変させられました。王政国家、封建国家ならともかくの出来事であり、民主国家の現代でも、いとも簡単に国論が醸成されうることが明かされました。大きな驚きでありました。

今ひとつは、これから述べさせていただこうと思います。

 

1、    社会の変化

日本の現代社会は欧米化、都市化など随分変化してきました。もちろんそればかりではなく農村社会から工業社会への雇用形態の変化などもあってのことでしょう。家族は核家族化で、老後は公共の制度にお任せに、また、先日ある人に同じ会社に勤めていると聞いた人のことを話すと、派遣会社からの人が多いから分からないとのことであります。

いい学歴でいい終身雇用という形態も崩壊して、会社と人との関係も様変わりです。さらにまた、いい面も悪い面もあると思いますが、社会と人との関係もいつの間にか個人優先となり、いわゆる世間の目という日本の社会的な力は大きく減じてきた現状であります。

過去にさかのぼることはできません。こうした変化によって起こる様々な問題、課題を解決しながら現状を進むほかありません。

社会の変化が起す問題については、今日の状況を見ればいいということになると思いますが、ある人によると、今、経済の低迷ともあいまって起こっている高い失業率と犯罪の増加も大きな関連があるといいます。これは今日的課題だと思われます。特に詐欺事件が多いのも時代を反映していることなのかもしれません。ならば就業率の向上を目指すことが、犯罪を抑止することにも通ずると言えます。就業率の向上が犯罪を減少させるのであれば、就業の促進は、何を置いても取り組むべき課題の一つということになります。

この点で憂慮するのが、ニートやフリーターと呼ばれる若者の増加であります。次の時代を担うべき若者がこのような有様では、日本の将来は決して明るいものではありません。このため国では、64万人(2004年)のニート、213万人(2004年)のフリーターの自立を支援する対策に重点的に取り組み、若者の職業的自立を促進するということであります。岡山県のニート、フリーターの就職支援策については、如何かお伺いいたします。

 

もとより、世間の犯罪を憎む正しい目、いわば社会の抑止力をつちかうことが大切であります。商店も随分商品の陳列形態が変わりましたし、IT社会への変化もあります。公道も車社会にあっては、個人の個室であります。増加の一途をたどる犯罪に、警察官の増員での対応も無理が出ます。行政として、犯罪の現状を県民に伝え、ことの大小にかかわりなく、犯罪は悪いことという意識の徹底を社会、家庭に強く訴えて欲しいと願いますが、如何か、警察本部長にお伺いいたします。

 

社会の変化が起こす問題には、自殺者の増加もあるといいます。現に自殺者は増加の一途をたどり、7年連続で3万人を越えたといいます。「1人の自殺者に対し5人の親族がいるとすると、新たに100万人以上が遺族になった計算になる」そうであります。

岡山県でも一頃300人前後の自殺者が今400人前後を推移しているようであります。そういえば、最近、田舎でも自殺ということを耳にすることが多くなりました。もちろん内実に詳しくありませんが、若者であったり、お年寄りであったりであります。これも、一人暮らし老人など農村社会の疲弊からだとか、若者の頼れる社会の欠如からだといわれております。であるとするなら、悩みや寂しさを抱え、精神的に社会から孤立した老人や若者たちが、心の健康を保ち、自殺に至らないために、地域のこうした人々を支える社会力の充実とサポートが必要と考えますが、如何かお伺いします。

また、不幸にも突然の自殺により肉親を失った遺族への心のケアも大事かと思いますが、この点も含め知事にお伺いいたします。

 

個人情報保護など世間の力の発揮にはますます厳しい時代ですが、次々と起こる問題解決に当たる一方で、困難な中にも、社会力を発揮させる努力が必要なことはいうまでもありません。

知事はこれを国体という一大事業で県民に取り組ませられました。これが今ひとつの「百の言説よりもひとつの実行」であります。天皇杯、皇后杯獲得という大成功でもありましたが、調理、民泊、美化、応援などなど195万県民が総じて参加し、県民に大きな感動を残させ、日ごろ何気なく通り過ぎる個人社会を、コミュニティー豊かな社会へ一段とアップさせられたのであります。個人主義的社会に地域の力を目覚めさせ、社会力をアップさせたことの意義は先刻から申し上げておりますとおり、随分大きいといえます。

この後、元気になった町内会、グループ、団体など、このアップした社会力を維持、発展させ、「快適生活県おかやま」の創造をと願いますが、如何かお伺いいたします。

 

先ごろ、岡山県では人口減少社会に関する講演会を行ったとお聞きしました。中山間地のコミュニティー崩壊や土地利用のあり方などの課題と対策が幅広く論じられたとか、大変時宜を得たお取り組みだと受け止めております。この講演会を契機に、人口減少社会に対する今後の施策の方向などお示しいただければと思いますが、如何かお伺いいたします。

 

2、国体の記録等について

半世紀に一度の国体でした。実績は先刻述べたとおりであります。また、石井知事の人気に目を細められた天皇、皇后両陛下、お別れに小枝議長に駆け寄られた紀子さまなど、岡山に温かい好印象を残させられた石井知事、小枝議長にご慰労申し上げたいと思います。また、全く目立つことなく、何ひとつミスなく警護された福島警察本部長にご慰労申し上げたいと思います。

さて、今後、様々が国体の記録とされることと思います。述べましたとおり、県民に残された感動は大きいものがあります。こうした記録が、今後どのように県民の目にふれるよう措置がなされ、生かされるのか、またこの感動の歴史が記念碑等何らか形に現されるのか、お伺いいたします。

 

3、苫田ダムのたたずまいと賑わい

百の言説を経た、苫田ダムが完成してやがて1年を迎えます。周辺の施設も整備を終え、奥津湖の静かなたたずまいが風景として定着してきました。

この秋、湖畔の施設は非常に多くの訪れる人々で賑わい、人の流れは、旧道となった奥津渓流の紅葉狩りに及び、奥津温泉街に連なりました。

ダム完成後の静寂を想起して不安を抱いてもいましたが、関係の皆さんのご活躍もあって、思った以上の湖畔の賑わいであります。賑わいの創出を願っていた一人としてはありがたい限りである。いまだ物珍しさの内に、新しい観光地が創出されたは早計かもしれない。がしかし、この人の流れを一過性のものとすべきではない。

県では「岡山の冬を楽しむ」観光キャンペーンを展開されるとか、少し登れば雪の恩原スキー場が賑わいます。一帯を岡山県の名所観光地へ位置づけていくに十二分の魅力であり、「観光回廊おかやま」のスポットにふさわしいと考えます。如何お取り組みかお伺いいたします。

 

国は2010年までに海外からの観光客を倍増の一千万人にする「ビジット・ジャパン・キャンペーン」をスタートさせて、海外の観光客誘致を進める中、北海道は、外客来訪促進計画を策定し、外国人向け観光ルートの設定など魅力づくりを進めているなど、他県でも同様の取り組みがあるといいます。

岡山県でも海外誘客の一翼をおおいに担ってほしいと願いますが如何かお伺いいたします。

あわせて、海外の観光地では、おおかたクレジットカード、ドルはもとより円が使用できる商店なども多く、不便を感じない観光地の実態があります。岡山県でも積極的に海外観光客に便利な観光地の条件を整えていく必要があると思いますが如何かお伺いいたします。

 

4、民に投げる不安

千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所によるマンション耐震データ偽造問題は大きな社会問題となった。建築士が作る構造計算書を国や県が指定する民間の検査機関や自治体がこの書類をもとに審査する。今回は民間検査機関の「イーホームズ」。国交省では、同建築士を建築基準法違反で刑事告発を行いました。被害者の人々はたまったものではない。倒壊前に分かっただけでも何よりだと思います。

建築確認という作業に大きな不安を示してくれた今回の事件、法で基準を作り、民にできることは民に、の当然の感覚で民にゆだねられた手続きですが、はたして、うまくいっているのかどうか疑問はあります。公の入札制度でも不正が行われたり、公務員が手を染めたり自治体の首長が云々といった話は枚挙にいとまがありません。それがすべて民に任せられた手続きになって、はたして、大丈夫だろうかという思いがするのであります。罰で終わるには余りにも不安が残ります。かといって、民に任せた責任の一端から、対応に税を投入していくというのも何かふに落ちないのであります。この種の建築物に当たっては、県内では大丈夫かお伺いいたします。

また、県の公共工事も民間に設計を委託しているものと思いますが、職員の削減が続く中にあって、技術職の十分な設計内容のチェック体制のもとに実施されていることを願いますが、如何かお伺いいたします。

 

バブル期の官から民への侵略も、今日の官から民への開放も、総じて住民の求めからではありません。官の思いであります。

住民が結果の被害に遭うことのないよう十分熟慮されなければなりません。民の拡大は、経済の活性化に大きな効果を上げておられますが、一方で責任の所在が不明確な分野にもなっているのではないかと思われます。

PFI方式の建設に続いて、今また、県有施設の指定管理者制度が動き始めますが、公共施設の本質論に立ち返れば、収益が見込めないけれども県民の福祉など行政施策として取り組まなければならないものとして収益性を度外視して取り組まれるものが大半であります。この度の制度発足に当たって民の意向は、諸々の理由はあったことと思いますが、参加に消極的であったようで、公共事業の必要な分野であることを裏付けたものだといえる、と考えます。

そんな分野に、民を入れて経営をということになると、何処かに何らかのしわ寄せが起こるのではとの危惧を持ちます。いわば建設目的に十分添いうるものかどうか、県民の利便性と安全が十分確保されるものかどうかということになろうかと思います。新制度発足に当たっての知事のお考えをお伺いいたします。

 

5、環境税と森づくり県民税

強固な政府が誕生して、盛んに税が取り上げられております。消費税の税率アップ、所得税の特例措置撤廃、酒税アップ、環境税の創設等々大変であります。中でも環境税の動向が気になります。といいますのも、我が岡山県では、森づくり県民税が創設されております。17年度は、4億6千万円余の税収で奥地林の間伐や風倒木対策に活用されるなど、県民の資産として森を捉え、森林の保全に充てられております。ようやく県民皆さんの理解を得られつつあり、その成果も徐々に目に見えてまいるものと喜んでおります。で、そんなときの環境税、現時点では具体的な制度内容は明らかではありませんが、何か似たり寄ったりの税の感がしないでもありません。国での環境税議論とあわせて、森づくり県民税との違いを明確に説明していく必要を思いますが如何かお伺いいたします。

 

以上、世紀の大ジャンプを果たされた知事に日常の些細をお尋ねすることになりましたが、よろしくお願いいたします。